対戦重ねストレートと「新球」スプリットで一軍へ
――結果、前期は抑えを中心に23試合に登板して2勝2敗3セーブで26回3分の1を投げて25奪三振で防御率2.73。「四国アイランドリーグplus ALL STARS」にも選出された岸本投手。ところで北米でチャレンジしたい「KABUKI SPIRITS!」はありますか?
岸本 昨年よりも登板経験が多くなる話は育成選手派遣が決まった時から耳に入っていたので、今年は今まで投げていなかった変化球を投げていっています。実際にそのボールを投げて打たれたり抑えたりしながら感触をつかんでいる最中です。
特にキャンナムリーグの打者は1番から9番までホームランがあるチームもありますし、僕が想像した以上にレベルも高い。ここではより一軍のマウンドをイメージしながらマウンドに立っています。
――なるほど。北米遠征では(6月26日現在)10試合に登板して1勝2敗1セーブ・8回3分の1を投げて10奪三振・防御率5.40ですが、その脳裏にはナゴヤドームへのイメージもあるのですね。
岸本 NPBでも多くの外国人選手がいますが、全員外国人ということ、レベルが違うことが僕のモチベーションをさらに高めています。キャンナムリーグの打者は日本人が振らないような状況でも振ってきて、さらに捉えてきますから。
中でも僕がサヨナラホームランを打たれたニュージャージー・ジャッカルズのアート・チャーズは最も印象的でした。この日、僕にとって一番調子のよかったストレートで勝負したんです。若干中に入ったとはいえ、通常なら最悪でもファウルになるはずのボールを簡単にフェンスの向こうまで運ばれた。
――コンビネーションの部分ではどうですか?
岸本 もちろん一番はストレートでいかに追い込めるか。ただ、追い込んだ後に打ち取るボールの選択肢として先ほど話した新しい変化球「スプリット」があるんです。
これまでは試合でなかなか投げられないボールだったんですが、北米遠征では数多く投げられている。ここが「KABUKI SPIRITS!」の1つでもあります。
――では最後に後期へ、さらにNPB一軍マウンドへ向けての力強い抱負をお願いします。
岸本 前期は自分としても満足いく成績ではなかったので、後期はそこを返しつつ、北米遠征で得たものも出して、中日ドラゴンズに戻った際はできたことを継続し、一軍のマウンドに立てるようにしていきたいです。
後期は三振にもこだわって防御率0点台を目指していきます!
「NPBは入団後がさらにサバイバル」。岸本 淳希投手の話を聴くとその意味がよく解る。日々葛藤し、探求し、レベルを上げて勝負し続ける。この作業を怠った者に先の契約は用意されていない。
立場がたとえ育成選手だとしても、四国アイランドリーグplusに育成派遣されていたとしても、その作業を日々続ける彼の前に、開けるものがあることを、今は祈りたい。