「フルスイング」を出しきり、今度は支配下指名でNPBへ
――北米遠征の成績的には序盤の不振から徐々に力を挙げている段階だと思いますが……。
松澤 打撃面ではそんな感じです。全力プレーでチームを引っ張っていくことはもちろんですが、僕の持ち味であるフルスイングのスタイルで芯に当たるようになってきました。
――この北米遠征が終われば後期、そしてドラフト。松澤選手は「ドラフト」には様々な想いもあると思います。一度は育成ドラフト指名を受けましたがけがで辞退しました。
松澤 そうですね。この北米遠征でも急に予定が変わってアップのタイミングが一定しないこともありますが、どんな環境や状況でもベストパフォーマンスを出せる。
特に1打席目に自分にとって最高のパフォーマンスを見せるように身体・心の準備も含めて後期やっていきたいです。いつNPB関係者の皆さんがみているか判りませんから。
――その到達点を目指すため、松澤 裕介外野手の既存の価値観にとらわれずチャレンジする「KABUKI SPIRITS!」とは?
松澤 やはり「フルスイング」です。中島 輝士監督からも「お前は攻めの姿勢を忘れるな。初球からどんどん振っていけ」とも言っていただいています。前期は正直、弱気な部分も出ていたと思うので、それでもフルスイングする部分を出していきたいです。
前期は打席に入る前には「フルスイングでいこう」と思うのですが、結果を出したい、チームに貢献したい自分がいて。初球から振れないこともありました。
――北米遠征第4戦以降、初球から振れるようになってきたのも、その意識を思い出した。
松澤 そうです。周囲の皆さんに励まされ、気付かされた部分も大きいです。自分との闘いも大事ですが、皆さんが差し伸べて頂いている手を逃さないようにしたいです。
この北米遠征でも各選手のホームステイ先のホストファミリーの皆さんもたくさんスタジアムに来ていただいていますし、支えられていることも感じて、あえて意識して喜んでいただけるようにプレーしています。その意識を日本でも忘れないようにしたいです。
――では最後に到達点へ向けての力強い抱負をお願いします。
松澤 フルスイングで来ていただいているスカウトのみなさん、観客の皆さん、対戦相手を驚かせて、今度は育成ではなく、支配下選手として指名を頂けるように。僕自身が「KABUKI SPIRITS!」になれるよう、頑張ります!
インタビュー最後に大見得を切り「これは残らないですね」と笑う。「松澤 裕介らしい」前向きと明るささが戻ってきた。悩み、苦しみ、時にそれが脚を鈍らせることもあった前期シーズンだったが、これならもう大丈夫だろう。
振り返れば2012年東京ヤクルトスワローズ5位指名の星野 雄大捕手(香川オリーブガイナーズ)以来遠ざかっている野手のNPBドラフト本指名。「独立リーグの日本人野手は育成指名から」そんな固定概念を打ち破るために。その第一候補である松澤 裕介のフルスイング人生に、大いなる期待を寄せたい。